床置きエアコンのデメリットとは?設置前に知っておくべき注意点を解説

床置きエアコンは、壁掛け型や天井埋込型と比べて導入事例が少ない分、その特徴や注意点が見落とされがちです。しかし、設置スペースの確保や気流の妨げ、メンテナンスの頻度、対応機種の少なさなど、検討すべきデメリットは少なくありません。特に狭小空間や家具の多い部屋ではレイアウトに制約が出る可能性があり、導入後に不便さを感じるケースもあります。

そこで今回は、床置きエアコンの主なデメリットと設置前に確認すべきポイントをわかりやすく解説します。壁掛け型との違いや選定時のチェックリストも紹介しているので、エアコン選びに迷っている方は参考にしてみてください。

床置きエアコンの主なデメリット

床置きエアコンは、設置が比較的容易で足元からの快適な送風が可能といったメリットがありますが、導入前に把握しておきたいデメリットも少なくありません。ここでは、床置きエアコンの主なデメリットについて解説します。

床に設置するため部屋のスペースを圧迫する

床置きエアコンは、その名の通り床面に直接設置するタイプであり、あらかじめ本体の設置スペースを確保する必要があります。壁掛け型や天井埋込型のように壁面や天井を活用できないため、設置後は部屋の一部を占有することになります。

結果として、特に狭小住宅やスペースが限られるオフィス・店舗では、有効面積が狭まり、家具の配置や人の動線に工夫が求められるケースも少なくありません。

エアコンの前方に物を置くと気流を妨げてしまい、冷暖房の効率が落ちる可能性もあります。吹き出し口周辺には一定の空間が必要になるため、設置場所の選定には注意が必要です。床を圧迫するという特徴はレイアウトの自由度を下げる原因となることもあるため、導入前に慎重な検討が欠かせません。

吹き出し口の前に物を置けずレイアウトが制限される

床置きエアコンは、本体前面にある吹き出し口から冷風や温風を室内へ送る構造を採用しており、前方に家具や荷物などの障害物を置くことができません。空気の流れが妨げられると冷暖房効率が低下し、設定温度に達するまでに余分なエネルギーを消費する原因になります。

特にオフィスや店舗で什器や陳列棚を多く配置する場合には、空調の妨げとならないようレイアウトに注意を払う必要があります。前方の空間を広く空けておくことが求められるため、スペースを有効に使いたい場面では大きな制約となる可能性も否定できません。設置場所を自由に選びにくい点は、床置きエアコン特有のデメリットといえます。

ホコリを吸いやすく定期的な掃除が欠かせない

床置きエアコンは床面近くに設置されるため、室内の空気とともにホコリやゴミを吸い込みやすい傾向があります。出入りが多い店舗や土足利用の施設では、舞い上がった細かなホコリや髪の毛が吸気口に付着しやすく、フィルター内部には汚れがたまりやすいです。

フィルターが目詰まりすると、冷暖房の効率が落ち、消費電力の増加や機器の寿命短縮につながるおそれがあります。快適な空調環境を保つには、フィルターの清掃や点検を定期的に実施することが欠かせません。

壁掛け型と比較して掃除の頻度が高まるため、日常的なメンテナンスに手が回らない場合は、導入を見直す判断も必要です。掃除のしやすさも、エアコン選定時に重視すべきポイントといえます。

対応しているメーカーや機種が限られている

床置きエアコンは、壁掛け型や天井埋込型と比べて対応しているメーカーや機種の選択肢が限られている傾向があります。大手メーカーでもすべてのモデルに床置きタイプを用意しているわけではなく、機能やサイズ、デザインのバリエーションも少ないため、希望する性能や設置条件に合う機種が見つかりにくい場合があります。

また、販売店によっては取り扱いが限定的で、在庫や納期の面で制約が生じるケースもあるでしょう。特に最新の省エネ性能やIoT機能などを重視したい場合は、壁掛け型のほうが選択肢が豊富なため、床置きタイプでは十分な比較検討ができない可能性があります。導入を検討する際は、対応メーカーや機種の情報を事前に確認しておくことが重要です。

壁掛けタイプより光熱費が高くなる傾向がある

床置きエアコンは、壁掛け型と比べて光熱費が高くなる傾向があります。これは、冷暖房の気流が床付近に集中しやすく、室内全体への空気循環が非効率になりがちなためです。

特に暖房時には温かい空気が天井付近に滞留し、快適な室温を維持するには長時間の運転が必要となる場合があります。さらに、床置きという特性上、周囲に家具などの障害物があると風の流れが妨げられ、冷暖房効率が一層下がることも考えられます。

こうした点が重なることで、同じ温度設定でも電力消費量が増え、結果として光熱費がかさむケースが少なくありません。省エネ性を重視する方にとっては、導入前に他の設置方式とのコスト比較を行うことが重要です。

排水経路の確保や工事条件に注意が必要

床置きエアコンを導入する際には、排水経路の確保や工事条件に注意が必要です。冷房運転中に発生する結露水を適切に排出するため、屋外へ導くドレン配管の設置が不可欠となります。

ただし、設置場所によっては十分な勾配を確保できなかったり、建物の構造上、排水経路を確保しにくい場合があるため注意が必要です。そのようなケースでは、排水ポンプの追加が必要になることもあり、施工費や工期が増える要因となり得ます。

また、床置き型エアコンは、設置基準として本体の固定や壁との間隔などの条件を満たす必要があるため、注意が必要です。壁掛け型と比べて設置の自由度が低いため、希望するレイアウトに対応しづらい可能性もあります。導入を検討する際は、専門業者による現地調査を事前に行い、配管や排水、電源工事などの条件を十分に確認しておくことが重要です。

床置きエアコンが向いていないケース

床置きエアコンは設置のしやすさや足元からの送風が魅力ですが、すべての環境に適しているわけではありません。ここでは、床置きエアコンが向いていないケースについて紹介します。

狭い部屋や設置スペースに余裕がない場合

床置きエアコンは、床面に本体を直接設置する構造のため、一定のスペースを確保しなければなりません。特に居室や小規模店舗のように面積が限られている場合、本体の配置によって動線や家具のレイアウトに支障が生じることがあります。さらに、吹き出し口の前方にも空間を空けておく必要があるため、設置できる場所が一段と限られてしまうのです。

壁掛け型のように壁の上部を利用できない点もあり、室内レイアウトの柔軟性が損なわれやすくなります。空間を効率的に使いたい方にとっては、扱いづらさを感じることがあるかもしれません。狭い場所への導入を検討している場合には、あらかじめ寸法を確認し、他の空調方式も視野に入れて判断することが重要です。

家具が多く風の通り道が確保できない環境

家具が多く置かれている部屋では、床置きエアコンの性能を十分に活かせないことがあります。床に近い位置から冷風や温風を送るため、空気が部屋全体に巡るには、風の通り道が確保されていることが前提です。ところが、大型の棚や収納が密集している空間では、気流が遮られやすく、冷暖房が一部に偏る恐れがあります。

特に暖房運転時は温かい空気が上昇するため、下部からの吹き出しが妨げられると、天井付近に熱が滞留しやすくなるのです。また、本体周辺に物があるとフィルターの吸気が阻害され、運転効率の低下や故障のリスクにもつながります。こうした点から、家具が多い環境では風の通りを確保しにくく、床置き型にこだわらず、別の空調方式も視野に入れることが望ましい判断といえます。

掃除の頻度が少ない場合

床置きエアコンは、床に近い位置で空気を吸い込む構造のため、ホコリやゴミが多い環境では内部フィルターが汚れやすくなります。掃除の頻度が低い住宅や清掃が難しい店舗・施設では、フィルターが目詰まりを起こして冷暖房効率が大きく低下する可能性があるため注意が必要です。

設定温度に達するまで余計なエネルギーを消費し、光熱費が増加します。さらに、本体にかかる負荷も大きくなり、寿命を縮めるリスクが高まります。床面のホコリを直接吸い込みやすい構造である以上、定期的なメンテナンスは欠かせません。掃除が行き届きにくい環境では、維持管理の手間を踏まえ、他の空調方式も視野に入れて検討することが求められます。

最新モデルや多機能な機種を選びたい場合

最新の省エネ性能や多機能なスマート連携機能を重視する方には、床置きエアコンはあまり適していません。床置きタイプは設置ニーズが限定的なため、対応機種が少なく、製品ラインアップも旧型中心となる傾向があります。AI制御やIoT連携、高性能フィルターなどの先進機能は、壁掛け型や天井埋込型のほうが充実している例が多く、比較の幅も狭まりがちです。

特に、電気代を抑える目的で最新モデルを導入したい場合や、スマートホームとの連動を想定している場合、床置き型では満足できない可能性があります。多機能性を重視するなら、設置場所にこだわらず、機能面を軸に製品を検討することが大切です。

電気代や省エネ性能を重視する場合

床置きエアコンは、電気代や省エネ性能を重視する方にとって、必ずしも最適とは限りません。床付近から気流を送り出す構造上、室内全体に空気を行き渡らせるまでに時間を要するため、運転時間が長くなる傾向があります。その結果、エネルギー消費が増え、光熱費に影響が出る可能性もあるのです。

また、最新の省エネ基準を満たすモデルや、AI制御・IoT連携機能を搭載した製品は、壁掛け型や天井埋込型に多く見られます。一方で、床置き型では対応機種が限られていることが多く、選択肢が狭まりやすい点は否めません。高効率な運転やスマートホームとの連携を求める場合には、別の設置方式の検討が有効でしょう。

初期費用だけでなく、長期的なランニングコストまで視野に入れたうえで、複数の設置方式を比較しながら選定する姿勢が求められます。

床置きエアコンと壁掛けエアコンの比較

床置きエアコンと壁掛けエアコンは、それぞれ設置場所や機能面に特徴があり、用途や環境によって適性が異なります。以下の表では、主な比較ポイントを整理しました。

スペースの取り方や清掃のしやすさ、省エネ性能などに違いがあるため、導入時は設置場所の条件や運用方針を踏まえて選定することが重要です。特に狭小空間や最新モデルを希望する場合は、壁掛け型のほうが柔軟性に優れるケースもあるでしょう。

比較項目床置きエアコン壁掛けエアコン
設置位置床面に直接設置壁の高い位置に設置
スペースの圧迫本体と吹き出し口前方に空間が必要壁上部のためスペースを取りにくい
清掃のしやすさフィルターが床に近く汚れやすい高所のためホコリの吸引は少なめ
気流の広がり足元から吹き出し、家具で妨げられやすい上部から室内全体に気流が広がりやすい
電気代・効率運転時間が長くなりがちでやや高め効率的な循環で電気代が抑えられる傾向
機種の選択肢限定的。最新モデルが少ない多機能・高性能モデルが豊富

床置きエアコンを選ぶ前に確認したいポイント

床置きエアコンの導入を検討する際は、設置後の使用感やメンテナンス性を事前に把握しておくことが大切です。快適に使用するためには、以下のような点を確認しておきましょう。

  • 本体の設置面積だけでなく、吹き出し口の前にも十分なスペースを確保できるか
  • 家具の配置や人の動線を妨げない位置に設置できるかどうか
  • 床付近に設置されるためホコリがたまりやすく、掃除の手間がかからないか
  • 希望する機能やデザインの製品が対応機種として存在するか
  • 排水経路や設置条件を満たすために、事前の現地調査が必要かどうか

床置きエアコンのメリット・デメリットを理解して最適な空調環境を整えよう

床置きエアコンは、設置のしやすさや足元からの快適な送風といったメリットがある一方で、スペースの制約や掃除の手間、対応機種の少なさなど、特有のデメリットも存在します。

特に狭小空間や家具が多い部屋では、気流が妨げられ効率が低下しやすく、最新モデルを求める方や省エネを重視する方には向かない場合もあります。

また、設置工事における排水経路の確保や、メンテナンス面の負担も考慮が必要です。導入後に後悔しないためには、使用環境・目的・機能性をしっかり比較検討し、自宅やオフィスに最適な空調方式を選ぶことが重要です。床置きエアコンの特徴を理解したうえで、快適で効率的な空調環境を整えましょう。

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