オフィス暖房を見直して快適性と省エネを両立する方法

冬場のオフィスでは、暖房の使い方ひとつで従業員の快適性や業務効率、エネルギーコストに大きな差が生まれます。暖かさを優先しすぎると電力使用量が増え、逆に節電を意識しすぎると「寒い」「乾燥している」といった不満が生じがちです。

本記事では、オフィスにおける暖房の最適な使い方や設備の工夫、従業員の声を踏まえた改善策を解説し、快適性と省エネを両立する実践的な方法をご紹介します。

オフィス暖房が職場環境に与える影響とは

オフィス内の暖房は、単なる室温調整の手段ではなく、職場全体の生産性や従業員の健康にも影響を及ぼします。適切に管理されていない暖房は、業務効率の低下や不満の原因となり、ひいては企業の経営効率にも関わってきます。

ここでは、オフィス暖房が具体的にどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。

従業員の快適性と作業効率を考慮する

寒すぎるオフィスでは、集中力が低下し、作業効率が落ちることが研究でも明らかになっています。反対に、暖かすぎる空間は眠気や倦怠感を誘発し、これもまたパフォーマンスの低下につながります。

最適な温度環境を整えることは、従業員のモチベーション維持や健康管理にもつながり、快適なオフィスづくりの基本といえます。また、寒暖差が大きい職場では、体調を崩す人が出やすくなるため、室温の安定性も重要なポイントです。

暖房コストとエネルギー消費の関係を見直す

オフィスの暖房は、冬季の電気代やガス代に大きく影響します。特に古い設備や非効率な運用を続けている場合、無駄なエネルギー消費が積み重なり、コストが増大しやすくなります。

一般的に、暖房の設定温度を1℃下げるだけでも約10%前後のエネルギー削減が可能とされており、少しの工夫で大きな効果が期待できます。省エネの視点からも、オフィス暖房の見直しは非常に重要な課題となります。

オフィスにおける暖房運用の基本を押さえる

効率的に暖房を運用するためには、単に設定温度を上げるだけではなく、空間全体における熱の循環や室温管理について、体系的に理解しておくことが大切です。

ここでは、快適で無駄のないオフィス暖房を実現するために押さえておきたい基本的な知識をご紹介いたします。

推奨される設定温度を把握する

一般的に、オフィス内の暖房設定温度は20℃前後が望ましいとされています。これは厚生労働省の「事務所衛生基準規則」に基づいたもので、働く方々の健康と快適性に配慮した基準です。

この温度を目安として設定を管理することで、過度な暖房によるエネルギーの浪費や体調不良を防ぐことが可能です。なお、適温には個人差があり、業務内容によっても感じ方が異なるため、あくまでも基準として柔軟に運用することが求められます。

冬季のエネルギー使用量との関係を理解する

冬季における暖房のエネルギー使用量は、空調機器の運転時間や設定温度によって大きく変動します。たとえば、室温を21℃から22℃へ1℃上げるだけでも、消費電力が約10%増加すると言われています。

そのため、「少し寒いから」といった理由で安易に設定温度を上げるのではなく、サーキュレーターの併用や服装の工夫など、他の手段を併せて活用することが重要です。これにより、快適さを保ちつつ、省エネルギーの実現が可能となります。

暖房効率を改善するためのオフィス内の工夫

暖房の設定温度を上げるだけでは、快適な室内環境は実現できません。空気の流れや湿度、レイアウトの工夫によって、暖房の効率は大きく変わります。

ここでは、オフィス内で実践できる暖房効率向上のための具体的な工夫を紹介します。

空調の風向きと風量を最適化する

温かい空気は天井付近に溜まりやすいため、エアコンの吹き出し口の風向きを調整し、暖気を足元まで届けることが重要です。

特に天井埋め込み型の空調を使用しているオフィスでは、風が直接人に当たらないようにしつつ、空気が循環するよう設計しましょう。風量も強すぎると乾燥や不快感を与えるため、「弱~中」での運転が推奨されます。

空気循環を意識して温度ムラを減らす

オフィスの空間は広く、壁や什器の配置によって空気が滞留しやすい場所が生まれます。サーキュレーターを併用することで、暖かい空気を循環させ、室内の温度ムラを解消できます。

特に、エアコンの暖気が上部にたまってしまう状況では、サーキュレーターを床面に置き、上向きに送風するのが効果的です。

加湿器を活用して体感温度を上げる

冬季のオフィスでは、暖房によって湿度が下がりやすくなります。湿度が低いと体感温度も下がり、実際の温度より寒く感じてしまうことがあります。

加湿器を活用して湿度を40〜60%に保つことで、体感温度が上がり、暖房の設定温度を低く抑えながらも快適な環境を維持できます。加湿は風邪予防や喉の保護にもつながるため、健康管理の面でも効果的です。

オフィスの空調設備を適切に保守・管理する

オフィス内で暖房の効率や快適性を維持するためには、日常的な空調設備の点検とメンテナンスが欠かせません。設備の劣化や汚れなどは見過ごされがちですが、こうした状態を放置すると、エネルギーの無駄遣いや突発的なトラブルを引き起こす原因となります。

ここでは、オフィスにおける暖房設備の保守・管理について、基本的なポイントをご紹介いたします。

フィルター清掃や配管点検を習慣化する

エアコンやファンヒーターなどの空調設備は、フィルターにホコリがたまったり、配管が劣化したりすることで、本来の性能を十分に発揮できなくなる場合があります。フィルターが目詰まりすると風量が弱くなり、設定温度に達するまでに余計なエネルギーを消費してしまいます。

これを防ぐためには、月に1回を目安にフィルターの点検と清掃を行い、年に数回は専門業者による内部点検を実施することが理想的です。こうした定期的なメンテナンスが、快適な室内環境と省エネの両立につながります。

異音や動作不良は早期に対応する

空調設備から異音が聞こえたり、起動に時間がかかったりする場合、それは内部の不具合や故障の前兆である可能性があります。こうした症状を放置してしまうと、予期せぬタイミングで設備が停止し、業務に大きな支障をきたすおそれがあります。

少しでも異常を感じた場合は、速やかに設備管理の担当者や専門業者に相談し、必要に応じて修理や部品交換を検討しましょう。小さな不調でも早めに対処することで、故障のリスクを減らし、結果的に修理費や光熱費の削減にもつながります。

オフィス空間を最適化して暖房エネルギーを抑える

暖房の設定温度や機器の工夫だけでなく、オフィス全体の空間設計や環境づくりも、暖房の効率に大きく関わっています。断熱性に優れた空間や、無駄のないレイアウトによって、少ないエネルギーで広範囲を暖めることが可能となり、結果としてコスト削減にもつながります。

ここでは、空間設計の視点から暖房効率を高めるための具体的な工夫をご紹介します。

断熱性の改善で熱損失を防ぐ

オフィスでの熱損失は、窓やドアなどの開口部から発生することが多く、特に古い建物や断熱性の低い素材が使われている場合には注意が必要です。暖房によって暖められた空気が外に逃げてしまうと、室温が安定せず、暖房効率が大きく低下します。

こうした状況を防ぐには、断熱カーテンや内窓の設置、気密性の高いドアへの交換などが効果的です。これらの対策を講じることで、暖房効果を維持しつつ、電気やガスの消費量を抑えることが期待できます。

ゾーン管理で無駄な暖房を減らす

オフィス全体を一律に暖めようとすると、それだけ多くのエネルギーが必要となります。そこで有効なのが、エリアごとの利用状況に応じて暖房を調整する「ゾーン管理」です。

たとえば、会議室や休憩スペースなど一時的にしか使用しない場所は控えめな設定にし、執務エリアなど人が長時間滞在する場所を重点的に暖めることで、無駄なエネルギー消費を抑えることができます。

また、パーテーションや間仕切りを活用して空間を区切ることで、暖かい空気が逃げにくい環境をつくることができ、省エネにもつながります。

従業員の声から見えるオフィス暖房の課題

オフィスで働く従業員の声には、暖房環境を改善するための多くのヒントが隠されています。「寒い」「乾燥している」「場所によって温度が違う」といった日常的な不満を放置してしまうと、従業員の生産性や満足度の低下につながりかねません。

ここでは、現場の声から見えてくる具体的な課題と、その対処の方向性について考えていきます。

寒さ対策のニーズを把握する

従業員が感じる寒さには個人差があり、性別や年齢、体調、着ている服の厚さなど、さまざまな要因が影響しています。中にはブランケットや膝掛けを使用するなど、自主的に寒さ対策をしている人もいれば、「暖房が効きすぎている」と感じる人もいます。

このような意見の違いに柔軟に対応するには、個々の感じ方を尊重しつつ、個別の寒さ対策を許容する運用が求められます。さらに、従業員への簡単なアンケートやヒアリングを行うことで、寒さを感じやすいエリアや時間帯を把握し、より的確な対策を講じることが可能になります。

乾燥や体感温度の違いに配慮する

暖房の使用により室内の湿度が下がると、「喉が痛くなる」「肌が乾燥する」といった不快感を訴える声が増える傾向にあります。乾燥は不快なだけでなく、健康への悪影響も懸念されるため、加湿器の導入や観葉植物の設置など、自然な方法による加湿対策を検討すると良いでしょう。

また、空気の流れやエアコンの位置によって、同じ空間でも「暑すぎる」「寒すぎる」といった体感温度のばらつきが発生しやすくなります。そのため、レイアウトの見直しや着席位置の調整、風向きの工夫といった対応も重要です。こうした細やかな配慮が、全体の快適性を高めることにつながります。

全体を見直して快適なオフィスを実現しよう

オフィスの暖房環境は、単なる快適さの問題にとどまらず、従業員の健康や業務効率、そして企業全体のエネルギーコストに深く関わっています。本記事で紹介したように、温度設定の見直し、空気の循環、湿度の管理、設備のメンテナンス、そして従業員の声の活用など、改善のためにできることは多岐にわたります。まずは身近なところから課題を洗い出し、できることから一つずつ取り組んでみましょう。


快適性と省エネの両立を実現することは、働く人にも、企業にもプラスの成果をもたらします。オフィス環境の改善は一度きりではなく、継続的な見直しとアップデートが求められます。必要に応じて専門家の助言を得たり、他部署と協力しながら、より良いオフィスづくりを進めていきましょう。

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